2015年3月11日

【和訳】The Hollow Client / The blog of Dr.John H. Watson

英BBCドラマ『SHERLOCK』のジョン・ワトソンブログ記事の訳です。
S3E2で詳細は語られず、作中でも一瞬しか出てこなかった『The Hollow Client』の事件記事

★ジョン・ワトソンのブログ記事の原文はこちら。
The Hollow Client from The blog of Dr.John H. Watson


2nd July : [The Hollow Client] 日本語訳
From The blog of Dr.John H. Watson

The Hollow Client
『うつろな依頼人』

ジャック・グリフィンはイカした登場の仕方をよく心得ていた。
結婚式のための衣装合わせに出かけた僕らがフラットへ戻ってくると
彼がそこに“いた”。
というより、厳密にいえば“いなかった”といえる。

なぜかってそれは、僕のソファに腰かけていたのが
ジャック・グリフィンのスーツだったから。
スーツだけ。
“中身”はなし。

ジャック・グリフィンは数日前、助けを求めて僕ら宛にメールをくれた。
彼はゴールドスミス大学の学生で、
彼自身の「不可視性」について調査を依頼してきた。
事の始まりは数週間前に遡る。
ジャックの同居人であるアラン・フラナガンがジャックとぶつかった時のことだ。
同居人はそこに立っていたジャックの姿が文字通り“見えなかった”と主張した。
その時は二人ともさして真剣に取り合わなかったが、それは一度きりでは済まなかった。
ジャックがすでに座っている椅子にアランが座ってしまったのだ。
そんなことが繰り返し何度も起きたという。

その日、ジャックは訪問の前に連絡をくれたんだけど
僕らは約束の時間に遅刻した。
僕ら二人がどんな靴を履くのがふさわしいか、
シャーロックが延々こだわり続けていたからだ。
そうしてフラットへ戻ったら、そこにはジャックのスーツがいたというわけだ。

二人してそのスーツをじっと見つめていると、
シャーロックがいくつもの解答をすぐさままとめて説明しだした。
同居人のアランがジャックを引っ掛けていて
自分が本当に透明人間だと信じこまされた、とか。
ジャックは複雑に鏡を組み合わせた何かに身を包み
自分を透明人間に見せかけている、とか。
もしくは同居人のアランからそういう類のものを仕掛けられている、とか。
シャーロックは不可視性のある塗料についても少し考えをめぐらせていた。
きっとジャックとアランは極めて高度な知識を持つ科学者なんだろう、とか。
(ハズレ。実際はメディア専攻だった。)
僕ら二人は途中どこかでクスリを盛られて、
ベイカー街221Bの精巧なレプリカに誘い込まれ、
この部屋に仕掛けられたカメラでこのソファにスーツの画像を映写している、とか。
そのあたりで話にストップをかけて、誰がそこまでやるんだよと聞いてみた。
すると彼は肩をすくめて"ニンジャ"の話を持ち出してきた。
そしてこう続けた・・・。
スーツはホログラムでジャックは初めからいなかった。
ジャックはソファの生地と同じ素材の布にくるまっている・・・。

僕はそこでもストップをかけてやらなきゃいけなくなって、彼に指摘してやったんだ。
たぶん僕らはジャックとアランにからかわれてるんだよって。
ただのスーツが置かれてるだけなんじゃないかなって。
シャーロックは僕の意見が正しいかもしれないことに渋々ながら納得してた。
ソファを確認すると、まあ思った通りただのスーツだったよ。
ニンジャとか複雑な鏡を使った細工とかのアイデアも含めてさ、
あいつって凝った仕掛けを求めてるんだなって思うよ。

このこと、きっとシャーロックは結婚式で話さないだろうな。

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11 comments 

すみませんでした。
Alan Flanagan 2 July

いいんだよ。謝らないで!
シャーロックに一泡吹かせることができてよかった!
John Watson 2 July

今までの記事で一番笑えたわ!! 超爆笑!!
Dame Latif 2 July

あらゆる人間の時間を浪費させるネタだな。
theimprobableone 2 July

シャーロックがイタズラに引っかかるなんてとっても愉快ね!
Donna Staveley 2 July

バカバカしい。
Sherlock Holmes 2 July

おかえりなさい、私のボーイズ!
Mrs Hudson 2 July

やあ、結婚式はいつになるんだい?
Mike Stamford 2 July

その結婚式の招待状を作ってるところなのになぜメールする?
バカだ。
Sherlock Holmes 2 July

バカなのは君だ。
John Watson 2 July

なかなかの切り返しだ。
Sherlock Holmes 2 July